お肌のシンデレラタイムというのを聞いたことはありますか?少し前までは、夜の10時から2時の4時間がそうだと言われてきました。この時間に睡眠をとると、成長ホルモンが多く分泌されて美肌になれる…というものです。
しかし、現在ではその考え方が少し変わってきていて、必ずしも決まった時間に寝る必要はないとされています。そもそも、美肌のためにもいいという成長ホルモンとは何なのでしょうか?また、どのような睡眠をとれば成長ホルモンによる美肌効果をしっかり得ることができるのかも気になるところです。
寝るだけで美肌を目指せるなんて、メリットしかありませんよね!ここではそんな睡眠と成長ホルモンの関係について、分かりやすくお伝えしていきます。
成長ホルモンというと、その名前からも子どもが成長するためのホルモンというイメージがありますよね。実際、思春期を迎えると成長ホルモンの分泌量は急上昇するので、一気に体が大きくなります。
思春期をピークに、その後成長ホルモンの分泌量は下がっていき、30代になる頃にはピーク時の半分以下です。30代前後で気になりだすのは、太りやすくなったり疲れが取れなくなったりといった「もう若くないな…」と思ってしまうような症状。ケガが治りにくい、肌のハリが無くなりシワを見つけるようになってきたなど、肌の老化現象を感じるのもこのころになります。
これは成長ホルモンに筋肉や骨を成長させたり、肌の代謝促進や体脂肪をエネルギーに変換したりといった作用があるためです。分泌量が減ると、このような作用が弱まってしまうので老けを感じるようになってしまいます。
ちなみに成長ホルモンは注射で人工的に増やすこともできます。美容クリニックでは、エイジングケア目的に打つ人も!体の強度を上げる作用が強いので、アスリートが使うとドーピング違反となってしまいます。
これほどまでに強い作用のある成長ホルモンは、自分で増やすことはできるのでしょうか?
成長ホルモンの減少は年齢に伴う自然現象なので、分泌が減ること自体は止めることができません。ただし、成長ホルモンの分泌を促す方法はあります。1つ目は、最も簡単な方法である質の良い睡眠をとること。このあと詳しく説明しますが、睡眠中に成長ホルモンの分泌量が増えるタイミングがあります。
2つ目はハードな運動を行うこと。短距離走やウェイトトレーニングなど、強度の強い運動も成長ホルモンの分泌を増やします。ただし、普通の人が毎日行えるわけではないので、睡眠よりも手軽さは劣ります。
3つ目は糖質に気を配ること。糖分を摂ると分泌されるインスリンは、成長ホルモンの分泌を減少させてしまいます。インスリンの分泌量を抑えるためには、血糖値が上がりにくい低GI食品を積極的に取り入れる、糖質そのものを制限するといった方法があります。
特に、夜の睡眠時間に分泌される成長ホルモンは、絶対に邪魔してほしくないところです。少なくとも寝る3時間前までには夕食を終わらせ、炭水化物は少な目にするのがおすすめです。極端な糖質制限は、素人判断では健康を害する場合があるので気をつけてくださいね。
寝るだけでエイジングケアになる?美容を気にするなら、まずは睡眠で成長ホルモンの分泌量アップを狙いましょう。成長ホルモンが最も分泌されるのは、入眠後3時間と言われています。
以前10時から2時がシンデレラタイムと言われていたのは、10時に就寝する生活を基準として考えていたからです。10時に寝られるのは確かに理想的ですが、現在のライフスタイルではちょっと難しい場合も多いですよね。
早寝できないから成長ホルモンは分泌が期待できないのではなく、入眠から3時間の睡眠の質次第で分泌量が変わるのです。人の睡眠は、レム睡眠(浅い睡眠)とノンレム睡眠(深い睡眠)のサイクルを繰り返しです。この睡眠の深さと成長ホルモンの分泌が、深い関わりを持っています。
人の睡眠は、入眠後から60分までに最も深いノンレム睡眠に落ちます。その後、一度眠りが浅くなっていき、入眠後90分でレム睡眠が訪れ、そのあと90分は再び深い睡眠が続きます。この合計3時間がシンデレラタイムとなりますが、これと成長ホルモンがどのように関係しているのでしょうか。
ノンレム睡眠の時は、体はもちろん脳も休んでいます。夢を見るのはレム睡眠の時で、脳が休んでいるノンレム睡眠の時はほとんど夢を見ません。この休息時間の間に、脳は日中の疲れやダメージを修復しようとします。最も深いノンレム睡眠=最も修復に適した時間となり、成長ホルモンが多く分泌されるのです。
ちなみに分泌量のピークは入眠後30分。最初の睡眠サイクルである90分間は、成長ホルモンの分泌させるために特に大事な時間となります。この時間帯に、より深く質の良い睡眠をとるにはどうしたら良いのでしょうか。
入眠後、最初の90分でいかに深い睡眠がとれるかどうかが良質な睡眠のカギとなります。成長ホルモンは、体が完全に休息モードに入ると分泌量が増えます。布団に入って寝てしまえば休息になるのでは?と思われがちですが、そこには安眠を妨げる2つのNG行動があるのです。
まず一つ目が、寝る時間直前の食事です。食事をとると胃腸が活発に動くため、体はしっかり休息がとれません。まだ食べ物を消化している間に入眠してしまうと、胃腸だけが働いている状態で最初の90分を迎えるので、睡眠の質が悪くなってしまいます。
先ほども少し触れましたが、糖分の摂取も成長ホルモンの分泌を減らしてしまうので、ダブルで悪影響を与えてしまいます。このようなことを防ぐためには、寝る時間の最低でも2時間前までには済ませておくのがおすすめです。
二つ目は、寝る直前のスマホの使用です。目からの光の刺激だけでなく、膨大な情報が入ってくるので脳を覚醒させてしまいます。なかなか寝付けず、睡眠の質が悪くなるだけでなく寝不足の原因にもなってしまいます。枕元でスマホを見る習慣はやめ、できれば1時間前までにはスマホの利用を止められるのがベストです。
良質な睡眠のためには、体を温めることも大切です。少しぬるめのお風呂に入って体を温めると、お風呂上りは徐々に体温が下がってきます。
一般的に、人間は夜になると体温が下がり眠気を覚えるようになります。夜下がった体温は、朝が近づくにつれて体温は上がって覚醒しやすくなるという生体リズムがあるのです。ぬるめのお風呂はこれをアシストする形になるので、スムーズに入眠できてすぐに深い眠りにつくことができます。
成長ホルモンの働きは、子どもを成長させるのはもちろんですが、大人の場合にはさまざまなエイジングケア効果も持っています。年齢とともに減少していくのは避けられませんが、そんな中でも成長ホルモンの分泌を促す行動はあります。
中でも大事なのが、良質な睡眠をとること。入眠後90分は、特に成長ホルモンが多く分泌される時間帯になります。毎日訪れるエイジングケアのチャンスなので、これを逃がさないよう良質な睡眠をとる行動を習慣化できるようにしましょう。