メイク崩れや見た目の印象が悪くなるから、できるだけ顔に汗をかきたくない、そう思う方は多いでしょう。
それに、汗でべたべたしない方が衛生的だし、肌のために良いような気もしますよね。
でも実際はそうとはいえないのです。汗には肌をきれいにしてくれる効果があって、天然かつ良質の化粧水といわれることをご存じでしょうか?
そこでこれから肌に良い働きをする汗について解説しながら、汗腺を鍛えて“いい汗”をかく方法もご紹介していきます。
汗による肌トラブルが起こりがちな季節の前に、肌代謝を上げてキレイになれる土台作りをしておきましょう。
結論からいうと、汗には美容成分が含まれているため、かいた方が良いといえます。ヨガなどの軽いスポーツを定期的にしている人の顔にはうるおいが感じられるものです。
汗が出ないと清潔そうに見えますが、実は発汗とともに排出されるべき老廃物が、肌に留まっているともいえるのです。
さらに汗と皮脂には肌の水分を保ち、紫外線などの刺激から守る機能も備わっています。汗が肌を覆うことがないと、このバリアもなくなり、乾燥やニキビといった肌トラブルが起こりやすいのです。つまり顔から汗をかくのは、スキンケアの第一歩といえますね。
肌を守るだけでなく汗の成分には、美容液によく配合される乳酸ナトリウムや、尿素といった天然保湿因子が含まれています。
この成分は水分と結合して浸透を高め、肌の角質層で水分を抱き込むという保湿機能があります。
また古い角質をはがれやすくする酵素や、殺菌作用もあって、肌のターンオーバーを促し、有害物質を肌へ侵入するのを防いでくれます。
こういったことから、汗は肌を守り美しくする化粧水と呼ばれるのですね。
ここまで、汗のどんな成分が肌に良い働きをするのかを見てきました。さらにここから、気になる肌トラブルへの効果をご紹介していきます。
体と同じく、肌も新陳代謝によって新しい細胞が作られています。この肌代謝によって表面に現れた古い角質は自然にはがれ落ち、かわりに新しい角質が作られます。
肌の新陳代謝が促されると、老廃物は汗と一緒に排出されて、かわりに角質層に天然保湿成分が補給されるので、肌がふっくら、ツヤと弾力も増すのです。
汗をかかないと古い角質や汚れが溜まって、毛穴に詰まることもあります。さらにそれが酸化すると黒ずんだり、ざらざら肌になったりで、乾燥肌やニキビ肌の原因になっていきます。
でも汗で角質が取れて天然保湿成分が浸透しやすくなると、うるおってニキビなどの炎症が起こりにくくなっていきます。
汗をかくことで肌代謝が良くなれば、血流やリンパ液の循環も良くなっていき、これがさらにリフレッシュ効果を生んで自律神経も整います。
自律神経のバランスが良いことは、体が冷えにくく、寝つきや目覚めも良くなりますから、美肌成分の分泌にもつながってくるのです。
体調が良くなると気分や表情も明るくなり、美肌効果をさらにアップしてくれるでしょう。
肌代謝を促して、保湿力を高めるためには、できるだけ“いい汗”をかくのがポイントです。 汗には良いものと、悪いものがありますが、まずその違いを確認しましょう。
まず良い汗と悪い汗の特徴を見てみましょう。汗の原料は血液です。汗腺は、毛細血管から吸収した血漿(けっしょう)から水分だけを取り込み、塩分やミネラルは戻します。
こうした仕組みがうまく働くと、サラサラの“いい汗”をかくことができるのです。
反対にこの仕組みが機能しないと、塩分やミネラルが混ざったベタベタする汗が出てきます。これが皮脂と混ざると雑菌が繁殖して、臭いも発生することに。
それでは美肌どころか、肌トラブルを引き起こしかねません。美肌効果を期待するなら、汗腺を鍛えて“いい汗”をかいていきましょう。
悪い汗をかくのは、汗腺の機能が弱まっている理由が考えられます。次に、汗腺の機能を健全にするため気をつける点をまとめてみましたので、参考にしてみてください。
冷房の設定温度は下げすぎないようにしましょう。職場などで調整が難しいようなら、羽織るものやブランケットを用意するようにしたいですね。
汗をかいたら、早めに蒸発させて体温を下げるように努めましょう。綿や麻などの通気性のある素材は汗が逃げやすいので、そのような素材をインナーに選ぶのも良いでしょう。
汗腺を活発にする方法としておすすめなのは、半身浴と手足浴。半身浴は36度ぐらいのぬるめのお湯に胸の下まで浸かり、ゆっくり約10~15分浸かります。
手足浴は42~43℃の熱めのお湯に手足の先をつけ、汗腺の働きを促します。深めの洗面器やバケツなどに熱い湯を入れ、ひじから手先、ひざから下を10~15分ほどつけましょう。
この2つを交互にすると、汗腺の働きがより高まりますよ。
有酸素運動のウォーキングやストレッチなどは、体全体に血液の巡りを良くし、発汗しやすい体質づくりに効果的です。
腹式呼吸はどこでもできる、おすすめの汗腺トレーニングです。口からゆっくりと息を吐き、おなかを膨らませながら鼻から大きく息を吸い込みます。
これを繰り返し行いましょう。体内に多くの酸素を取り込め、発汗作用が期待できます。
顔からどんなにいい汗をかいたとしても、それを放置してはいけません。
わずかなアンモニアや塩分が、かゆみやかぶれなどを起こすのを防ぐためにも、これからのポイントは守るようにしてください。
顔の汗は、清潔で柔らかなハンカチなどで軽く拭き取り、帰宅後は刺激の少ないクレンジング剤や洗顔料で、優しく丁寧に洗いましょう。
汗をそのまま放置することは、雑菌が繁殖して肌荒れやあせもなどの皮膚トラブルの原因となります。
たくさん汗をかいたとしても、1日何度も洗顔料を使って洗うことは避けましょう。
せっかく美肌へ導いてくれるありがたい汗ですから、落とし過ぎないよう洗顔料の使用は朝と夜の2回に抑えた方が良さそうです。
顔の汗をそのままにしていると、蒸発で熱を奪い冷えてしまいます。せっかく肌体温が調整できたのに冷やしてしまってはもったいないので、汗をかいたら早めに拭くようにしましょう。
汗をかくことイコール、体から水分が蒸発している状態なので、その分は補う必要があります。その場合は水分だけでなく、ナトリウムやカリウムなどの電解質も失われていますので、水よりもスポーツドリンクがおすすめです。
また、汗が蒸発する際に起こる乾燥を防ぐため、外出時にもスプレータイプのローションを携帯したりして、こまめな保湿を心がけしましょう。
ここまでサラっとした汗は美肌に効果がある、ということをお伝えしてきました。汗腺は年齢を重ねるとだんだん衰えていくので、大人ほどベタベタする悪い汗をかきがちです。
また汗をかきにくい体質は、夏バテのリスクも高まりますから、今から汗腺を鍛えて、良い汗をかくための体質改善をしていきたいですね。
また汗をかいた後は正しいケアを行うことで、蒸し暑い季節の肌トラブルを防いでくれます。ご紹介したポイントに気をつけて、今年はたくさん汗をかいてきれいな肌を目指しましょう!