疲労回復や健康管理に欠かせない栄養素として知られているビタミンB1。さまざまなビタミンの中でも意識的に摂取したい種類のひとつですが、現代人はそんなビタミンB1が非常に不足しやすいと言われているんです。
そこで今回は、いまだからこそ改めて知っておきたいビタミンB1の大切さについて詳しく解説していきます。美容や健康にもたらす効果をはじめ、過不足による影響や効率的に摂取する方法もまとめました。ぜひ日々の食生活に役立ててみて下さいね。
ビタミンB1とは、1910年に農学者である鈴木梅太郎氏によってコメぬかから発見された栄養素です。現在ビタミンは全部で13種類が発見されていますが、なんとビタミンB1は一番はじめに発見されたビタミンなんですよ。
そんなビタミンB1は、別名「チアミン」とも呼ばれ、ブドウ糖をエネルギーに変換する際に必要な化合物として知られています。水溶性ビタミンの一種で、体の中では血液などに溶け込んでいます。
ビタミンB1の主な働きは、大きくわけて2つ。
まずは疲労回復に役立つという点です。ビタミンB1を摂取することで糖質が効率よくエネルギーに変換されるため、体内に活動性が生まれます。すると体内に蓄積された疲労物質(乳酸)が分解され、エネルギー不足をスッキリと解消できるというわけです。この働きは疲労だけでなく、皮膚や粘膜を正常に保つのにも役立ちます。
さらにビタミンB1には、先ほども解説したようにブドウ糖をエネルギーに変換する性質があります。そのため、ブドウ糖を活動源とする脳神経の栄養になるのです。脳に十分な栄養が行き届いていると、日中に眠くなりにくくなったり頭が冴えたりなど、さまざまなメリットを実感できますよ。
上記の通りビタミンB1は、私たちの体にとって必要不可欠な役割を果たしてくれる栄養素です。ではそんな栄養素が不足してしまうと、どのようなリスクがあるのでしょうか?
ビタミンB1はエネルギーの生産に関わる栄養素なので、不足すると倦怠感や食欲不振などの症状につながることがあります。
特にインスタント食品中心の生活では大量の糖質を分解する際に多くのビタミンB1が使用されるため、食べた直後に倦怠感を覚えることも。せっかくエネルギーを得るために摂っている食事が、かえってだるさや食欲不振につながってしまうのはとても勿体ないことです。
働きの項目で、ビタミンB1は脳の栄養である糖質のチャージにも役立つと解説しました。そのため、脳に栄養が不足するという点において、ビタミンB1不足は末梢神経や中枢神経の異常にも影響を及ぼしてしまうのです。その初期症状として、手足のしびれが出るようになります。それがさらに進行すると、筋力の衰えにもつながっていきます。
ビタミンB1は段階的に症状が悪化していき、最終的に欠乏することで脚気という病気を起こします。するとこれまで解説したように倦怠感や手足のしびれに加え、むくみや筋力の衰えにも影響がでてしまうんです。この病気はかつて、明治時代や大正時代に大流行した歴史があります。
では次に、ビタミンB1を豊富に含む食材をご紹介していきます。
動物性と植物性、それぞれ幅広い食材をピックアップしたので、ぜひ今日から取り入れてみてくださいね。
動物性食品の中では、特に豚肉が豊富なビタミンB1を含んでいます。ロースやヒレ、ももにも満遍なくビタミンB1が含まれているので、普段から豚肉を食べている方であれば、既に十分な量を摂取できていることが多いでしょう。
一方豚肉をあまり食べない方をはじめ、動物性タンパク質を摂らないヴィーガンの方などは、ビタミンB1が不足しやすい傾向にあります。以下から紹介する野菜などでしっかりとビタミンB1を摂っていきましょう。
ビタミンB1は、穀類のカラ(米でいうところのぬかの部分)に豊富に含まれています。実際に私たちが普段主食で食べる白米よりも、玄米や胚芽米の方が圧倒的にビタミンB1をはじめとする栄養素が高いんですよ。
豆類はゆで小豆をお汁粉にしたりあんこにしたり、そら豆は塩茹でにしたり炒め物にしたりと、さまざまなレシピで楽しめるのが嬉しいポイント。
大豆に関しては大豆製品をこまめに食べることで、ビタミンB1を日常的に摂取することができます。ちなみに、大豆製品を選ぶ際は原材料に『丸大豆』と書かれた商品を購入することで、栄養素を最大限に摂ることができます。
では最後にビタミンB1を効率よく摂取するおすすめの方法を知っておきましょう。
合わせて、摂取量の目安についても解説していきます。
ビタミンB1は、水に溶けやすいという性質があります。そのため、煮たり茹でたりすると、せっかくの栄養が調理の過程でお湯に流れ出てしまうんです。そのため、ビタミンB1を含んだ食材を食べる時は、できれば煮汁ごと食べられる汁物でいただくのがおすすめ。
なお、調理の際にニンニクを使うと、アリシンという成分が働き、ビタミンB1の吸収率を高めてくれます。ニンニクの他、アリシンはネギ類やニラにも豊富に含まれています。
ビタミンB1の摂取量の目安は以下の通り。
胎児の育成や母乳の生成のサポートに欠かせない栄養素なので、妊娠中や授乳中の女性に関しては、標準よりもやや多めの摂取が推奨されています。
男性 | 女性 | |
---|---|---|
8~49歳 | 1.4 | 1.1 |
50~74歳 | 1.3 | 1.1 |
75歳以上 | 1.2 | 0.9 |
不足が深刻な影響を与える一方で、ビタミンB1は必要以上に摂っても体に蓄積することはなく尿として排出されていきます。これまでに食事から過剰摂取した場合の健康被害については報告がないため、現時点では過度に心配する必要はないでしょう。
ただ、サプリでの過剰摂取には注意が必要。1日に何度も飲んだり摂取量を誤ったりなど、サプリの分解に負担がかかるような極端な飲み方はやめましょう。
ビタミンB1は、美容のみならず私たちの健康を守るためにも必要不可欠な栄養の一種です。積極的に取り入れることで、毎日をヘルシーに心地よく過ごせるといいですよね。
また、過剰に摂取しても問題はないと言われているビタミンB1ですが、やはり食事の際はバランスよくいろいろなものを食べるのが重要です。さまざまなメニューから色々な食材の栄養を取り、体を大切にしていきましょう!